地域の「農」を伝える ~名取岩沼農協増田地区青年部~
市民ライター:浅野 直彦
各地の農協の前にあるユニークな看板たち
各地の農協が作成する看板は、名取市内を始め全国各地で見かけます。その内容は地域を代表する作物の紹介であったり、農業を安定的に継続していくために必要なことのアピールであったりと、バラエティ豊かです。
看板は大きさや内容、デザインもそれぞれに工夫が凝らされ、くすりと笑ってしまったり、考えさせられたりします。
その土地の看板を見ることで、その地域の「農」を知るきっかけになったりもします。
そんな農協の看板の中でも、名取駅前にある名取岩沼農協増田支店前の看板は、ポップなデザインと、力強いメッセージで一際目を引きます。
各地の看板の中には、残念ながら作られてから時間を経てしまい色が褪せていたり、書かれている時事ネタが古いものになっていたりするものもあります。往事を知るにはいいものですが、どうしても作られたときから比べると、今はこの農協は勢いが弱くなってしまったのかと感じてしまいます。
でも、増田支店前にある看板は毎年新しいものが作られ続けています。それは、色あせることなく地域の「農」の「今」を伝えています。
今回は、そんな看板作りについてお話を伺いました。
設立から60年を迎える青年部
看板を作成しているのは、名取岩沼農協増田地区青年部の皆さんです。
青年部は現在58名で30~40代のメンバーを中心に活動しています。
その歴史は長く、設立は昭和39年で今年(令和6年)は設立60周年となります。
今も定期的に会合を持ち、部の活動や部員同士の情報交換を行っています。
その活動の一つが今回の看板作成です。
看板は毎回図案のテーマを決め、地元の農産物を取り入れながらテーマと合わせていきます。令和5年の看板のテーマは「アメコミ」です。
そのアイディアが下絵の形になるまでは1ヶ月くらいかかります。この下絵も青年部員が作っています。
下絵が完成してからはとてもスピーディです。10人ほどの人数で、わずか1日で大きな看板に下絵を転写し、色をつけるまで終わらせてしまいます。
農業は自然を相手にする職業です。自然は農家の都合に合わせてくれることはありません。それだけに、いつ自然の条件が整ってもいいように農家は準備を万全にして備えます。そして、整った機会を逃さず、効率よく短時間で仕事を進めます。
今回の看板での準備期間と作成にかかる時間のことからも、活動している部員の皆さんの日々の仕事ぶりもうかがえました。
看板が作り続けられていくこと 日本の「農」が続いていくこと
多くの皆さんの努力で作り上げられた看板は、また今年も作成されます。
見る人に楽しんでもらいながら地元の農産物のPRを始め、そのときの「農」を青年部の皆さんは描き続けていきます。
食は人が生きていく根幹に関わるもので、その健康は何物にも代えがたいものです。それを支え続けているのが、農家の皆さんです。
一方、農家を取り巻く環境は厳しさを増しています。そして、若い農家が少なくなっていることから、青年部員も減少傾向にあります。
この看板から、名取岩沼農協増田地区青年部の想像力、団結力、発信力を感じてもらい、将来的には部員の増加にもつながることで、これからも長く活動を続けていけるよう思いました。
看板コレクション
最近の看板です。最近見たもの、ちょっと懐かしいもの、毎年の力作たちです。