増田川は地域の宝 ~キラキラパルク増田西~
市民ライター 浅野 直彦
名取市増田西地区にある増田川親水公園河川敷に子どもたちの歓声があがりました。
川遊びのガサガサ体験等に参加した子供たちです。
主催したのは子供たちに増田川を知ってもらい、地域の楽しさや大切さを伝える団体「キラキラパルク増田西(KPM)」です。
KPMは平成27年3月27日に設立された任意団体で、今年で活動を始めて9年目になります。会員は17名です。設立のきっかけは、増田西公民館で開催された地域力向上講座です。増田川を活かすプランを作成したメンバーが、これを講座の発展・実践の場として活動を開始しました。
川を知ってもらうには、川に来てもらいたい
今年度は、令和5年8月11日に川遊び&ガサガサ体験会が開催されました。
「ガサガサ」と呼ばれる漁があります。
これは、川に入って川底や草の茂みを足で動かして音を出し、魚等を手に持った網に追い込んでいく漁のことです。
小さな網なら力が要らないので子どもでも体験することができます。
当日は、子供を中心に約60人が体験しました。
この漁で捕まえた魚は、自然環境を調査し、その学習を手がけている株式会社エコリスから来てくれた講師から種類や特徴などの説明を受けた後、大きさを記録したら全て逃がします。
生物分類技能検定魚類1級の資格を持つ講師のアドバイスに沿って、平成27年から記録が積み重ねられているので、増田川の生態系の貴重な記録となっています。
今年は暑かったせいか、昨年よりも種類が少なくなっていました。
安全に川遊びをしてもらうために
増田川は仙台河川国道事務所が管理しているため、川岸の草刈りも事務所で行っています。
毎年ガサガサ体験などの川遊びを行う直前で草刈りをしてもらい、活動しやすい環境が作られるよう、事務所も連携してくれています。
また、草刈り以外にKPMのメンバーによるゴミ拾いなどを年に数回行っています。
その活動を横断幕で周知することで、ゴミが少ないきれいな環境は、みんなの努力によって維持されていることを、知ってもらえるよう努めています。
地道な努力の成果が表れて、確実にゴミが少なくなってきているそうです。
また、川は楽しい場でもありますが、危険と隣り合わせの場でもあります。
遊ぶに適した流れの緩やかな場所と、急に深くなったり流れが急な場所は、川の堆積物で毎年変わります。
今年の川はどうなっているか、それを毎年その都度確認し、立ち入り禁止区域を確認していくことも大切な事前準備です。
このような綿密な準備の上で、子どもたちが楽しく水鉄砲などの川遊びをしました。
鮭が帰ってくる増田川
毎年、増田川に鮭が遡上し、自然産卵していることを知らない人も多いようです。
KPMでは夏の川遊びとは別に、秋には「鮭の観察会」を開催していました。しかし、近年は遡上してくる鮭の数が少なくなってしまい、当日見られるかどうかわからないため「増田川の観察会」と言わざるを得なくなっています。
それでも参加した子供たちが実際に鮭を見ることができるように、メンバーが観察会の直前に川をつぶさに調べて鮭のいる場所を探しています。(鮭のつがいは産卵のために同じ場所に数日とどまります)
KPMでそのことについての紙芝居を作成し、毎年10月上旬に増田西小学校の3年生に読み聞かせをしています。
増田川に鮭が遡上してくることを知らない子供も多く、驚かれるそうです。
そしてそのときに11月に開催される増田川の観察会を案内しています。
次の世代が宝物として引き継いでくれるように
令和4年はこのガサガサ体験と川遊びの会を名取市の協働提案事業として行い、会の企画段階から当日の運営まで子供たちも参加して行いました。
その子供たちが令和5年の体験会でもお手伝いとして来てくれました。
子供の頃の感動体験は、将来になっても宝物として残り続けます。
増田川がいつまでも川遊びができるように、鮭が遡上してくるように、きれいなままで次の世代に感動を伝える場であり続けて欲しいものです。
KPM会員の熱い思いが感じられました。
(写真提供 キラキラパルク増田西)